新型コロナウイルス流行なら沖縄12万人発症 厚労省の算定式で推計 対策講じれば軽減も


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新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 厚生労働省が9日に発表した新型コロナウイルス感染症の流行ピークの患者数を推計するため提示した計算式によると、沖縄県内で流行した場合、流行が終息するまでに約12万人が発症し、約2万人が入院、約2千人が重症化するとの数値が導き出されることが10日、分かった。ただこの結果は3カ月で流行する前提で、流行を遅らせるなど対策を講じた場合はピークの軽減を図れる可能性があるという。県内の医療関係者らが明らかにした。

 県も推計式に基づき県全体のピーク時の状況を計算した。県によると、最も多い日で外来患者は4685人、入院患者は2149人、重症患者は73人となった。これは季節性インフルエンザより少し高い感染力と想定し、県の人口規模を当てはめた。

 一方、関係者によると、県内全体の急性期病床は現在6292床で、稼働率は約90%のため、空いているのは600床ほど。既存の急性期病床ではピーク時に患者を受け入れた場合、すぐに限界を迎えることになるという。県関係者も「入院患者数は厳しい想定」と漏らす。

 入院患者や重症患者の内訳では約8割が65歳以上の高齢者となっている。関係者は県内でも地域別での流行に違いがあるなど「推計ではなく、あくまでシナリオだ」と強調。その上で、このような事態を避けるためにも、軽症者の受診の在り方など流行に備えた医療体制の検討や市民の協力の必要性を挙げた。