高校野球に女性監督 「集大成の試合を私に任せてくれることに感謝」


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グラウンドで野球部員にシートノックをする東佳奈子さん=2日、うるま市の石川高校

 片手でボールを上げ、両手でバットを振りシートノックをする、というのは野球未経験者にはなかなか難しい技だ。北山高校野球部の部長に就いた6年前、数学教諭の東(あずま)佳奈子さん(43)は、通称「鳥小屋」と呼ばれるグラウンド内のネットに囲まれたケージの一角で、シートノックの練習をしていた。

 最初は全くボールが当たらず、手にはまめができた。「先生、ボールが近いよ」。通りかかる部員たちがアドバイスをくれる。2カ月猛特訓し習得した。

 小さい頃から野球好きで、いつか高校野球に関わりたいと思っていた。北山高校着任4年目の2014年、野球部担当に空きができ、自ら手を挙げて部長に就任。4年間務め、シートノックで部員らと汗を流した。

 18年に赴任した石川高校でも部長に。19年3月の春季大会敗退後、異動が決まっていた当時の監督から「あとはお願いします」と言われた。「夏の大会まで期間限定で引き受けよう」。県内初の女性監督就任の背景には、人一倍頑張っているキャプテンら選手が、どう乗り越えていくのか見届けたい思いがあった。

 「少年野球から始めて、高3の夏の大会は、本人たちにとって集大成。人生最後の試合を私に任せてくれたことに感謝しかない」。指揮官としての夏は1勝したものの2回戦で敗退した。副部長を務める今も、生徒たちの成長を目の当たりにする醍醐味(だいごみ)をかみしめている。

(知花亜美)

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